直火(じかび)で焚き火をしてみたいけどうやってやればいいのかわからない
直火は片付け方が難しそう
直火をやる時にどんな道具が必要なの?
直火での焚き火は魅力がたっぷりですが、正しいやり方を知らない方は多いです。
直火は正しく行わないと怪我や山火事のリスクがあり大変危険です。
僕は直火での焚き火が大好きです。今は直火OKのワイルドなキャンプ場に行ってよく焚き火を楽しんでいますが、以前はルールやマナーがわからず苦労しました。
そこでこの記事では、「正しく直火をする方法」として、直火での焚き火の注意点やマナー違反にならないようにする対策、直火の魅力、直火をする際に必要なものを解説していきます。
この記事を読むと、直火のマナーがわかり、直火で焚き火をしてみたくなります。直火にチャレンジしてみたい方はぜひ最後まで読んでください。
多くのキャンプ場が直火禁止の理由
この記事では直火を正しくやる方法を書いていきますが、現在、多くのキャンプ場では直火が禁止です。焚き火をする際には焚き火台を使用する必要があります。
一方で、昔は焚き火と言えば基本的に直火であり、焚き火台が普及し始めたのは1996年(スノーピークの焚き火台発売)あたりからです。
では、なぜ現在のキャンプ場は直火禁止の場所が多いのでしょうか。
理由は状況によりさまざまありますが、この3点がよく言われています。
- 地面へのダメージ
- 山火事(事故)のリスク
- キャンパーのマナー違反
地面へのダメージ
地面に直接焚き火を作る直火は、地面にダメージを与えます。特に草地や芝生のサイトでは言わずもがな草が焼けるので直火で焚き火をすることはできません。
また、腐葉土の地面や、木の根が地表に表出している地面も良くありません。腐葉土はそれ自体が燃える心配がありますし、木の根は燃やしてしまうと木の生命力が落ちて朽ちてしまいます。
山火事(事故)のリスク
直火は注意しないと延焼の危険があります。1年間で発生する山火事のうち、3割は焚き火が原因だと言われています。
焚き火台での焚き火では、地面から離れていることや焚き火の大きさが決まっていることから、周りの草木に燃え移ることは少ないかもしれません。
でも特に直火では適切な距離を離さないと簡単に燃え移ります。
焚き火台と違って、直火は動かすことができません。場所決めを間違えると山火事のリスクを上げてしまいます。
キャンプ場としては、山火事は絶対に起こしたくないものです。
キャンパーのマナー違反
これが最も大きな原因かもしれません。
直火の処理を怠るキャンパーにより、キャンプ場が荒れてしまうことがあります。
- 炭や灰をそのままにする
- 燃えきる前の薪が放置される
- 焚き火のために掘った穴が開いたままになっている
このような行為によってキャンプ場管理者が苦難する事が多く、現在では焚き火台の使用を義務化している施設がほとんどです。
マナー違反にならないようにする対策【後片付け】
キャンパーのみなさんも楽しいキャンプでうっかりマナー違反はしたくないですよね。
では、マナー違反にならないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
結論、以下の4点です。
- 直火をしていい場所を選ぶ
- 薪を燃やしきる
- 火を正しく消す
- わからなかったら管理人に聞く
マナー違反になる状況としては圧倒的に
後片付け
に関するところです。
特に後片付けをしっかりしましょう。
直火をしても良い場所を選ぶ
まずは直火ができる場所を選びます。上にも記載したように、多くのキャンプ場では直火が禁止です。
私有地や河川敷ならいいんじゃないの?
そう思われるかもしれませんが、
- 自治体の条例
- 廃棄物処理法
- 軽犯罪法
- 消防法
などを守った上で焚き火をする必要があります。
まずは直火ができるキャンプ場でやることをおすすめします。
薪を燃やしきる
直火に限らず焚き火自体のマナーですが、薪は燃やし切りましょう。
灰はキャンプ場で集めて再利用することができますが、中途半端に燃えた薪はその後利用することができません。
でも燃やしきるのってすごく時間がかかるんじゃない?
そう思われる方もいると思います。
その通りです。
実際に薪を燃やしきるには非常に時間がかかります。場合によっては6時間以上かかります。
焚き火は時間に余裕をもって計画的に行いましょう。
火を正しく消す(水かけ消火NG)
熾火(おきび)になった火はなかなか消えません。全て燃えきって冷めるまで待つのは何時間もかかるため、さすがに現実的ではありません。
では、撤収する時にどうやって火を消したらいいのでしょうか。
結論は、火消し袋(火消しツボ)を使う事です。
理由は効率よく安全に消火できるからです。
水をかけて消せばいいんじゃないのかと思う方もいるかもしれませんが、
火が付いた薪に直接水をかけるのは危険です。瞬時に沸点に達した熱湯が薪からはねてやけどをする恐れがあります。
焚き火をした薪が全て細かい炭や灰になったら、火消袋の中に入れます。密閉して30分〜1時間くらいするとしっかり消火されています。
僕は火消し袋で消化している間に撤収作業をしています。
消火した灰は、所定の灰捨て場もしくは自宅に持ち帰り燃えるゴミとして捨てます。
灰を処理した地面には十分に水をかけましょう。
わからなかったら管理人に聞く
直火をする際にわからないことがあれば管理人の方に聞きましょう。
正しいと思ってしている行動もうっかりマナー違反をしてしまっていることがあります。
不安に思うことは最初に聞いておくのが安心です。特に片付け方は戸惑うことがあると思います。
直火の魅力は焚き火台では出せない美しさ
直火には焚き火台では出せない魅力がたっぷりあります。
- 炎が美しい
- 足元から暖かい
- 火持ちが良い
- 焚き火の大きさが自由
- 荷物が減る
炎が美しい
直火はとにかくエモいです。
焚き火台の焚き火と比べるとやはり、より自然に溶け込んでいます。
薪の組み方も大きさや形の制限がなくきれいに組めるので、焚き火の形も綺麗な3角形になります。
足元から暖かい
地面で焚き火をするので足元から温められるのが直火です。
特に地べたスタイルでやる方は冬場の直火に温められます。
火持ちが良い
直火の火持ちはめちゃくちゃ良いです。
なぜなら地面が温められるからです。焚き火台は金属であるため冷めやすいですが、地面は保温性が高いです。
なので直火で焚き火をすると、大きい薪でもしっかり燃えきります。
焚き火の大きさが自由
直火は焚き火の大きさを自分で決められるのも魅力です。気分やキャンプスタイルによって焚き火の大きさを変えられるのは焚き火台ではできません。
ソロの時には小さめに、デュオやグループの時は少し大きめにして焚き火を囲んで楽しむなんてことも自由です。
荷物が減る
焚き火台は意外と荷物になります。
ソロ用であれば軽くて薄いものもありますが、その分焚き火は小さくなってしまいます。
荷物を減らして、ある程度大きな焚き火ができるのが直火の魅力でもあります。
直火のはじめ方
それでは直火のはじめ方を簡単に解説していきます。
- 場所を決める
- 安全を確保する
- 薪を集めて火を付ける
場所を決める
まずは直火ができる場所を決めていきます。
最もおすすめなのは、直火ができるキャンプ場です。
キャンプ場でやらない場合は上に書いたことに注意して場所を選びましょう。
質問:「穴は掘った方がいいの?」
穴は掘らないのがベターです。
なぜなら地形が変わってしまい、雨が降ると土が流れてしまうからです。焚き火は原状復帰して帰るのが原則です。穴を掘ると原状復帰するのも大変になるのでおすすめはしません。
でも掘った方が燃焼効率がいいんじゃないの?
と思う方もいるかもしれませんが、穴は掘らなくても地面で焚き火をする時点で燃焼効率は非常に良いです。
穴は掘らずに薪を組みましょう。
安全を確保する
場所を決めたら安全を確保します。
落ち葉や生えている木など、周りに燃えやすいものがないか良く確認してください。
できれば火床から1mは落ち葉を避けた方が良いです。
そのほか、
- 風
- 距離
- 腐葉土
- 表出した根
などにも注意する必要があります。
とにもかくにも
無理をしない
これが1番大切です。
質問:「落ち葉は燃やしてもいいの?」
落ち葉は基本的に燃やしてはいけません。
なぜなら火の粉が飛びやすく、山火事のリスクがあるからです。
でも良く燃えるから焚き付けにしたいな。そう思うと思います。
でも焚き付けに落ち葉は必要ありません。細い枝をたくさん拾って来て薪を組めばしっかり火はつきます。
薪を集めて火を付ける
細いものから集める
焚き火は細い薪から集めていきましょう。
細いものからだんだん太い薪に火を移していくのが焚き火の基本です。
髪の毛サイズ
鉛筆の芯サイズ
鉛筆サイズ
小指サイズ
このくらいの薪をたくさん集めておくと焚き付けに困りません。
集めた薪を三角錐(すい)になるように組んでマッチで火をつければ、簡単に安定した焚き火ができます。
フェザースティックは作らないの?
と思われた方もいるかもしれませんが、基本的にフェザースティックは落ちている薪がない時や落ちている薪が濡れていて火がつかない時に作ります。
個人的にフェザースティックを作る頻度は低いです。
秘密の焚き付け“ファットウッド”!?
“ファットウッド”という単語を聞いたことがあるでしょうか。
ファットウッドとは、樹脂を多く含んだ松の木のことです。通常、枯れた松の木から取れます。
リターンな日々さんTwitterより引用
脂(あぶら)を多く含んでいるため、ファットウッドは「天然の着火剤」と言われています。
着火に最適な薪であることが知られていますが、実はこのファットウッドはめちゃくちゃレアな木です。普段あまり見かけることはありません。
しかし!
最近、このファットウッドが見つかったキャンプ場があります。
それが、那須高原ITAMUROキャンプ場です。
ここは「ソロキャンプの聖地」を作るべく、現在開拓中の土地になります。ここにお宝ファットウッドが眠っているらしいです。
気になる方はぜひ那須高原ITAMUROキャンプ場のソロキャンプの聖地に行ってみてください。
那須高原ITAMUROキャンプ場管理人さんのTwitterアカウントはこちら
これは絶対に必要
直火をする時には安全第一で、後片付けをしっかりしなければなりません。
ここでは直火で焚き火をする時に絶対に必要な道具を3つ紹介していきます。
- 革手袋
- 火消袋
- 水
革手袋
革手袋は耐熱性と耐火性をあわせもつ手袋です。
焚き火は軍手でいいんじゃないの?
と思われる方もいるかもしれませんが、軍手には耐熱性と耐火性がありません。
軍手は熱いものはあまり長い時間持てませんし、簡単に火がついてしまうためケガをする危険があります。
対して革手袋はほとんど熱さを感じません。とっさに薪を移動させたい時でも、短時間であれば手で薪を移動させることも可能です。
安全のためにも焚き火をするときに必ず準備しましょう。
火消袋
直火で焚き火をした薪はなかなか火が消えません。その時に火消袋を使用します。
火消袋に炭や灰を入れて30分~1時間くらいすると火が消えています。
使うタイミングとしては、寝る前や撤収時です。
火消ツボでもいいのでは?と思われると思います。もちろん火消ツボでも良いです。
しかし、火消ツボはサイズが大きいです。
一方で火消袋はコンパクトになるため、バックパックの隙間に入れて持ち運ぶことができます。
容量も大きいものがあるので、僕は圧倒的に火消袋をおすすめします。
水
水は撤収時と緊急時に使用します。
絶対に火を消すためには使わないでください。やけどをします。
具体的には、灰や炭を火消し袋にしまった後に地面にかけます。
なぜなら焚き火後の地面は高温の熱を持っているからです。放置すると山火事の危険があります。
水は緊急時にも重宝するので十分な量を持っていきましょう。
これがあるともっと楽しい
さらに直火の焚き火を楽しむために、以下の2つを持っていくことをおすすめします。
- 火吹き棒
- 薪バサミ
火吹き棒
火吹き棒は焚き火の火力を強くするために使います。
僕は以前、「火吹き棒なんてなくても焚き火できるじゃん」と思っていましたが、買ってから焚き火がめちゃくちゃ楽しくなりました。
火が大きくなると焚き火の魅力が増します。
しっかりした火吹き棒でも良いですが、100円ショップにも売っているので持っていない方はお試しで買ってみてください。
薪バサミ
薪バサミもあったほうが良いです。火が付いた薪を簡単に移動できます。
薪を組みなおしたい時やこぼれてしまったときに重宝します。
リーチが長いのでこれがあると薪を動かすときに安全です。
焚き火は直火に限る。無理をせず楽しもう。
直火の焚き火はめちゃくちゃ楽しいです。僕は直火を一度経験してから直火の虜になりました。
なぜかって、焚き火台を持っていかなくて良いにもかかわらず、焚き火台よりも美しい炎が見られるのです。
ただ、直火ができるキャンプ場は上で書いたように非常に限られています。
キャンパーとしても、直火ができるキャンプ場が少ないのはさみしいですし、もっと増えてほしいと思っています。
だからこそこの記事を読んでいるソロキャンパーは直火のやり方を覚えて、安全にマナーよく楽しみましょう。
無理をしないことが第一です。
直火ができるキャンプ場を含め、栃木県で本格的なブッシュクラフトができるキャンプ場は以下の記事で紹介しています。